猫にとって、お菓子は気になる匂いがしても、甘い味はしないことがあります。猫には、通常の哺乳類が甘さを捉えるための、機能する受容体がありません。理由は遺伝子にありますが、味覚そのものがないという意味ではありません。
甘味受容体の、欠けた片方
哺乳類の一般的な甘味受容体は、T1R2とT1R3という二つのタンパク質の組み合わせです。Xia Liらの2005年の研究では、猫のTas1r2は発現していない偽遺伝子だと分かりました。配列には247塩基対の欠失と、本来より早い位置に現れる終止コドンが含まれていました。
調べたイエネコ、トラ、チーターでは、同じ欠失が見つかりました。遺伝子の発現を調べた結果や、それまでの行動研究と合わせると、猫が甘い物質に関心を示しにくい理由を分子のレベルで説明できます。
この比較は、調査した系統が分かれる前から、機能の喪失が受け継がれていたことを示唆します。ただし、変異が起きた年代を直接測った研究ではなく、現存するネコ科全種を調べたわけでもありません。系統樹から正確な年齢を割り当てるより、「古くから共有される変化」と考えるほうが確実です。
肉食との関わり
2012年の肉食性哺乳類の研究では、ほかの複数の種でも、機能する甘味受容体の遺伝子が独立に失われていました。別の味覚受容体に関係する遺伝子を失った哺乳類もいました。
著者らは、こうした傾向を食性と結びつけて考えました。ある感覚機能の有用性が下がると、その機能を維持する自然選択が弱くなる可能性があります。これは、動物が意図的に感覚を手放すこととも、同じ食事がすべての種に同じ変異を起こすこととも違います。
また、すべての肉食動物の味覚が同じだという結論にもなりません。進化には、それぞれの系統、変異、環境が関わります。大まかな食性の分類は説明の入口であって、仕組みのすべてではありません。
猫のうま味は、人とは違う働き方をする
Scott McGraneらの2023年の研究は、猫のうま味受容体の性質と味の好みを調べました。受容体の実験では、ヌクレオチドが受容体を活性化し、いくつかのアミノ酸はヌクレオチドと組み合わせると反応を強めました。
研究チームは、マグロに含まれるイノシン一リン酸と遊離ヒスチジンの組み合わせが、猫にとってのおいしさの一因かもしれないと提案しました。これは嗜好性に寄与する可能性の話であり、その分子の組み合わせだけで、すべての猫の食べ物の好みが説明できるという証明ではありません。
実験系で調べた受容体と、生きた動物全体の行動を区別することも大切です。論文が複数の方法を組み合わせたのは、それぞれが関連しつつも異なる問いに答えるからです。
苦味を感じる仕組みは残っている
2015年の機能研究では、猫の苦味受容体の遺伝子が12個、完全な形で確認されました。そのうち少なくとも7種類の受容体で、試験条件下の反応が示されました。猫は肉食に特化していても、苦味を検出する機能を持っています。
これらの受容体が進化の中で残った理由は、研究課題です。苦味の検出を、絶対に間違えない安全検査と考えてはいけません。「苦い」と「有毒」は同じ分類ではありません。
デザートへの興味から、何が分かる?
猫が人間の甘い食べ物を調べていても、それだけでは何に引かれたのかは分かりません。匂い、食感、ほかの成分などが候補です。確かめずに、その猫は必ず脂肪やタンパク質を欲しがっているのだ、と断定するのは行きすぎです。
同様に、甘味を感じないという性質だけでは、その食べ物が猫に適しているかどうかは決まりません。ここで扱っているのは感覚の生物学であって、食事の勧めでも、代替甘味料を猫に試す理由でもありません。
「猫には味覚がない」で済ませるより、実際の話はずっと面白いものです。猫の感覚の仕組みは、私たちとは具体的に、測定できる形で違います。猫の視覚の記事(英語)では、その感覚世界の別の部分を紹介しています。食卓での無関心に見えるものも、味覚が受け取れない信号を前にしているだけかもしれません。
2026-09-12公開の英語版の記事を日本語に翻訳しました。翻訳日:2026年10月29日。翻訳にはAIを使用し、記事内の時点は原文に合わせています。




